二次方程式の解法2では、「与えられた二次方程式から、一次方程式の二乗という解きやすい形の方程式を求めること」を目的としていた。
三次方程式の解法2でも、同様な目的で方程式が解けないか検討しよう。
前提として、三次方程式を

...(1)
とする。三次の項の係数が1以外の時はそれで両辺を割れば良いので、
簡単にするため三次の項の係数は、1とする。
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まず、
「与えられた
三次方程式から、
一次方程式の
三乗という解きやすい形の方程式を求めること」は、失敗に終わる、検証する。
一次方程式の
三乗とすると

...(2A)
である。展開整理すると、

...(3A)
さらに整理

...(4A)
(1)と(4A)の係数が等しいとすると a,b,cを自由に決められると、それを満たすA,Bは存在しないことがすぐわかる。
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では、「与えられた
三次方程式から、
二次方程式の
三乗という解きやすい形の方程式を求めること」は、どうだろうか、これは実は成功することが知られている。
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まずは失敗する計算をしてみる。
三次方程式が、
二次方程式の
三乗に変形できると仮定すると、

...(2)
である。
公式

...(3)
より、(2)を展開すると、

...(4)
項ごとの整理

...(5)
xの次数で整理

...(6)
さらに整理

...(7)
公式

...(8)
を用いて

...(1)(再掲)
(1)の両辺を二乗する。

...(9)
項の中を整理

... (10)
xの次数で整理

...(11)
さらに整理

...(12)
(7)と(12)を見比べてA,B,Cの連立方程式を得る

...(13),(14),(15),(16),(17),(18)
(13)から、

...(19)
(14)から、

...(20)
(20)へ(19)を代入

...(21)
(19)と(21)を(15)に代入

...(22)
項内の整理

...(23)
通分

...(24)

...(25)

...(26)

...(27)

...(28)
ここで、(28)が意味するものは、「元の方程式で自由に決められた係数c が係数a,bに制限される」ことである。これは、明らかに可怪しい。その原因は、「
(7)と(12)を見比べてA,B,Cの連立方程式を得る」ことにありそうだ。
「
(7)と(12)を見比べてA,B,Cの連立方程式を得る」という意味は、式(7)の左辺と式(12)の左辺が等しいという式が、任意のxについて成立することを意味している。
実は、(7)は、xが三次方程式の解α、β、γのときには確かに成立する。xが、解α、β、γ以外のときは、成立している必要はない。(12)は、xが三次方程式の解α、β、γのときには確かに成立する。xが、解α、β、γ以外のときは、成立しない。
だから「
(7)と(12)を見比べてA,B,Cの連立方程式を得る」方法は、この三次方程式では乱暴すぎた。
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式(7)の元の式(2)に戻り、(2)が、三次方程式の解α、β、γのときには確かに成立するので、未知数A,B,Cの連立方程式

...(29),(30),(31)
が、成立できる。
この連立方程式は、未知数が、A,B,Cの3個に式が3個だから解けそうである。
が、まだ未知のはずの三次方程式の解α、β、γを既知の値として利用している時点で、
どこか可怪しい。
一応、試しに解いてみよう。
(29)の左辺と(30)の左辺はCに等しいので

...(31)
ここで公式

...(32)
より、(31)は

...(33)
ここで、

...(34)
を仮定すると、

...(35)
の可能性は高い、が、もう少し精密に議論を進めよう。
式(29),(30),(31)は、根の二次式(左辺)の数値が、ある数Cの立方根であることを意味している。
つまり、ある数Cの立方根は、Cが0でなければ、3つある。C=0のときだけ、立方根は1つだけになる。
したがって、

...(36)
を仮定し、さらに、

...(35)(再掲) (36) (37)
を、仮定して話を進めよう。
仮定の(35)から、(33)の左辺の因数で0になるところは、

...(38)

...(39)

...(40)

...(41)
(30),(31)の左辺から同様に

...(42)
(31),(29)の左辺から同様に

...(43)
ここで、(41),(42),(43)の三式が出てきた。
(41)と(42)でABの係数を合わせるように両辺に定数を掛けて両辺をそれぞれ引くと

...(44)
ABの項が消える。さらに整理して、

...(45)
ここまでの、計算で疲れた、、、、。
以後は方針のみ、
式(41)(42)から(45)を求めた方法を、式(42)(43)と、式(43)(41)に適用すると、式(45)と同様の式をさらに二つ得る。
その三式から、二式を取り出し、Bの二乗の項の係数を合して両辺をそれぞれ引くと、Bの二乗の項を消せて、Aの二乗、A、Bと定数の式が得られる。この式は、「三式から、二式を取り出す」方法が三通りあるので、また三式できる。これで、BがAの二次式になる連立方程式が3個できるので、Bを消去するとまた三個の二次方程式で出てくる。これが解けて一致するとといいのだが、、、、確かめるまでには至らない。
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では、どうやって (2)のA,B,Cを求めるといいのか、テキストに出ていた方法は、
三次方程式を

...(1)(再掲)
目標とする方程式を

...(2)(再掲)
ここで、

...(100)
とおく。すると、(2)は、

...(101)
(101)には、yの二乗の項とyの項が無いが、実はあって係数が0であると考えると、

...(102)
である。
つまり、計算の目標は、(102)のような yの三次方程式を (1)と(100)から作ることになる。
そして、yの二乗の項とyの項の係数が0であるとすればよい。
(100)を変形

...(103)
(103)を(1)へ代入。

...(104)
xについて整理する

...(105)
ところで、(103)の両辺をx倍

...(106)
右辺に、(103)を代入

...(107)
整理

...(108)
整理

...(109)
(109)を(105)へ代入

...(110)
整理

...(111)
これから、

...(112)
のとき

...(113)
x が、 y の分数式で表された。
(113)を(100)へ代入し、分母のyの一次式を払って、yについて整理すると、yの三次式が得られる。
途中計算を略して

...(114)
を得る、ただし係数は

...(115)

...(116)

...(117)
である。
ここで、(102)で考えたことから、未知数A,Bの連立方程式

...(118),(119)
は、未知数A,Bの連立方程式

...(120),(121)
となり、二次方程式の解法で、A,Bを求めることができる。
また、(2)のCは、(114)から

...(122)
で求められる。
連立方程式(120),(121)の一組の根を

とする。この根の組に対して(122)で得た

が、ある。(101)にこれを当てはめ

...(123)
これで、三乗根の一つを

...(124)
とすると残りの二根は、

...(125)
これで、3つの二次方程式が作られる。

...(126)
この3つの二次方程式から、三次方程式の根がすべて求まる、と言われている。
これで終わりではない、ここまでの議論は(112)を仮定している、(112)が否定される場合を検討する。